今日のお供

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8月13日「ジキル博士と&ハイド氏」(スティーヴンソン) 

もう何年も前に購入してから、一度も開かなかったこの本。
別に嫌いなわけでもなかったんだけど、なんとなく買って読まない本ってたまにあるのです。
今回みたいに突然、読みたくなるときが来るのを知っていたかのように。
よく二重人格の代名詞として「ジキルとハイド」って使われるけど、さて原作になると、
読んでいる人って少ないのではないのかしら。
上品で親切なな医者、ジキル博士のおうちにいつからともなく出入りするようになった、
粗野で凶暴な男ハイド。ジキル博士が(対外的には)心を病みはじめた、というところから
全貌が明らかになる―。
実はこの話、彼(ジキル博士)が二重人格だったんじゃなくて、彼が自分で調合した薬によって
いちいち(!)変身していたのですね。おお、なんということ。
その変身を試みた理由というのが後半部分の彼の遺書で明らかになるのだけれど、
彼には彼自身も止めようのない「享楽性」が常にまとわりつき、今の地位をも脅かそうという
激しい欲望と、現在の地位を両立させるために変身つまり二人目の自分を作ることを試みた。
というのが、大まかな理由。
これは誰にでもあることなのではないのかな。私だけ?
今の生活を全部棄てて、限りなく堕ちてゆきたい・・・。と思うのは、私だけかしら。
なんというか、詩のページでも紹介した萩原恭二郎とか、バイロンとかボードレールとか
あと太宰の「斜陽」とか、デカダンスの世界。
らせん状にくるくると闇に向かって堕ちて行くって、甘美に聞こえない?
んー、やっぱり私だけかあ・・・・・・。

4月23日 「ワーズワース詩集」(田部重治選訳)

 やっと出会えた夢にまで見たワーズワース。田園詩人と言われたワーズワース、自然大好きな
私は彼の詩集をこの手に入れたくて入れたくてここ何年と探していたんだけど、不思議と私が見ると
いつも書店にはワーズワースだけがない。ほんとに、全集とかでも彼のだけ抜けてたりして
ここまでくると作為を感じるくらい(笑)私と彼の詩集出会うことができませんでした。
それがやっと!まるで長いあいだ探していた人に再会したような。ああ!ワーズワース。
あまりに味わいすぎてまだ読み終わっておりません(5月中旬現在)けれど、やっぱり好きだわ。
英語の原詩を読んでないからまだはっきりとはいえないけれど、言葉の選び方と表現が好き。
自然の中に埋もれたいと常々思っている自分としては、たまらなくみどりの美しさがひきたって
うっかり人里はなれたところに引きこもってしまいそうな詩集。
東京に来てからというもの、自然なんかぜーんぜんないんだもん。つまらない。みどりの美しさも、
花の香りも風の匂いもなんにもない。雨はうっとおしいだけ。そんなときだからこそこんな本。

4月23日 「ダダモ博士の血液型健康ダイエット」 

 もう何も弁解することなし(笑)6時台のニュースで特集として扱われていて、非常なるショックを
私に与えた食事法。なんと言っても、このとおりにすると私は餓死するしかないんだもの。
私を良く知っている人は、私と言う人間が肉なしでは生きていけない人間だとか、
実は偏食が激しいとかということをもちろん知っていることと思います。が・・・。
私の血液型A型に合う食べ物というのは、まず野菜。肉は体の毒以外何ものでもないそう。
ベジタリアンになんかなれなーい!!と憤慨した数日後、
某演劇関係者Aさんと授業の後飲みに行って、偶然同じテレビ番組をみ、同じA型で同じように
肉が食えないことの苦しみを分かち合って(笑)その場は大いに盛り上がったんだけど、
そのときにAさんがすすめてくれたのが、この本。TVで紹介されたのは新書の分厚い本だったけど
これは文庫で軽いし、Aさん曰く「コレくらいは自分への投資と思って買っても損じゃないよ」などと
とても魅力的なお言葉を言っていたため、即買い。
 でも読めば読むほど、私には無理!肉は一切ダメ、わずかながらの好きな野菜もダメ、
魚はいいけどそれも大好きな魚介類はダメな部類、卵ダメ牛乳ダメ。どうして生きていけっていうの?
こんなの一生できないよ〜。運動は激しいものはダメ(私は小さい頃からテニスが好き。)。うわー。
 ちなみにうちの母親というのは肉が大嫌いな人ですが、O型はとにかく肉を食べなきゃいけないん
だって。比べてみると、母親の好きなものはO型にとってNGなことばかり。逆になればよかったのに。

4月2日 「朝まで一緒に」(水上洋子)

 最近のマイブームは、長風呂。20分くらい浸かって、休んでと1時間くらいはバスルームに
こもりっぱなし。20分ぼんやり考え事をすることもあるんだけど、本を読んだり音楽を聴いたり
することがほとんど。で、久しぶりに本棚から引っ張り出した本。
 この本は「あなたが好き」に続く、「大人の恋の絵本」的要素をもった一冊。写真と水上洋子による
恋のお言葉が半々くらいで、量的には少ないんだけど自分的に考えてしまう言葉も含んでいます。
 現代女流作家があまり好きでない私は普段手にとることもないんだけれど、なぜか気に入って
忘れた頃に読み返したくなる一冊なのです。恋をしていても、していなくても。
 こうして書いていても、読んでいる人にはあまりわからないと思うのでちょっとだけ。

 “美しいとか、魅力的な異性と言う理由だけでは、恋は生まれません。
  恋という感情に捉えられてしまうのは、
  その人の中に何か新しい発見をしたときだけです。”

 この一ページが、私は一番好きです。

1月9日 「われ笑う、ゆえにわれあり」(土屋賢二) 

 実家から帰京のために、地元の駅前の本屋で急遽買った本。
いつも欲しい本がなくて、結局雑誌とか買っちゃうんだけど、たまたま目についたこの本を購入。
我が家は10年以上前から『通販生活』を愛読している家庭で、この本の著者でお茶の水女子大
教授の土屋先生が数年前から通販生活で連載しているのもチェック済み。
哲学が専門なんだけれど、この人のエッセイは実に面白い。
普段から些細なことをどれだけ哲学的にスケッチするか、どれだけ笑いのネタにできるかという
臨界点への飽くなき挑戦を繰り返すその名もライヤー土屋(笑)
文体をさっと流していくと明らかに哲学的文章なんだけれど、この人は全くの嘘つきで、読み進めて
行くうちに誰しもが笑うはず。きっと。
機会があったら、お茶大に潜入したいくらいの面白さ。


 

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