毎年恒例・夏の黒部行き

★日程
2004年8月
20日(金)都内で用事の後、茅野の友人宅入り
21日(土)・22日(日)茅野より糸魚川経由で黒部入り・24時間イベント・・・
23日(月)トロッコ列車にのって欅平へ
24日(火)新潟・東京経由で帰宅


★毎年恒例・・・黒部

何も言わずとも、毎年夏は黒部に行く(笑)・・・のはずが、昨年は夏に体調を崩し行けず。
その代わりに晩秋の黒部に行き、アルペンルートを堪能してきました。
というわけで、大学時代からかかさず一年に一度は必ず黒部に行っています。
何があってもなくても一年に一度は必ず訪れる場所、「縁」という言葉を感じる土地です。


★欅平への道・1日目(伊豆〜東京〜茅野)

毎年黒部まで行って、イベントが終了すると次の日には戻ってくるという日程。
今年はなぜか旅が私を呼んでいて(笑)折角黒部まで行くんだから
前回(昨秋・旅行記参照)行けなかった黒部峡谷・トロッコの終点「欅平」へ行きたい!
とおねだりして友人と常宿の主と一緒に行く事になりました。

しかも、今年は友人と私の都合で黒部入りの前日、長野県にある友人の実家で一泊。
(春に御柱祭を見に行ってお世話になったお宅です)
行きも帰りも風まかせ、旅には寄り道がかかせない私だけど、今回は気味悪いほどいい行程。
今年は夏休みらしい夏休み、旅らしい旅ができそうな予感・・・

まずは伊豆の実家を出て、都内で用事を済ませる。
ここからさらに長野県の友人宅へ向かうべく、買い物や頼まれもの、バタバタと走り回り
高速バスの駅がある新宿へと向かう。
前回(春)は富士から身延線、その前に彼女の家に寄ったのは黒部の帰りで
その帰りは「特急あずさ」で新宿に戻ったのでした。
今回はその彼女が割安に移動できる高速バスの存在を教えてくれたので
早速自宅からチケットをネット手配。いやはや、田舎にはネットって必須。

新宿から高速バスに乗ると、中央高速に乗る。
伊豆の自宅から千葉県在住の祖母宅まではいつも東名高速+首都高で着いてしまうので
中央高速って数えるくらいしか走ったことがない。
高井戸くらいまでは見知った風景、それ以降は見るもの見るものが新鮮なのに疲れが出て寝てしまう。
新しい風景をまるまる見逃して、なんともったいない!と思ったのもつかの間
山梨県を過ぎて人が降り始める。もう少しかな?もう少しかな?思いながら
南アルプスにゆっくりと移り行く夕焼けにみとれること、しばし。
壁よりももっと高く、想像を超えてはるかにそびえる大きなランドマーク。
その稜線が紅く浮かび上がり、あたたかな金色の光に包まれる瞬間に思わず息を呑む。

夕焼けのレビューは名残惜しいと思う間もなく終わり、あたりは真っ暗。
気づけば周りにぎっしりと乗っていた人々はそれぞれに散り、バスの中は閑散としている。
私が降りるのは上諏訪の駅で、終点の岡谷の少し手前。
中央道ICを降りて諏訪の街中を走るともうまもなく駅に着くというアナウンス。
冷房で冷えていた体を温めるべくさっさと降りると・・・車内より寒い!
伊豆ではまだ夏の熱風が吹いていたのに、諏訪はもう晩秋か!?と思えるような温度。
早く電車来ないかなぁ。

寒さに震えて電車に乗り、友人ともう一人の友人の待つ駅に降り立つとやっぱり寒い。
今日は珍しく寒い日だ、と言っていたけど、伊豆ではこの温度、晩秋のもの。
1日目がこれで、先はどうなるんだろう・・・?



★欅平への道・2日目(茅野〜黒部)

友人宅でぐっすり眠り、朝はゆっくりと起きて黒部へと旅立つ。
途中の南小谷までは「特急あずさ」で、南小谷から糸魚川、さらにその先の黒部までは在来線。
以前、初めて黒部に行った年かな?帰りにこれと同じコースで茅野の友人宅にお邪魔し
ひたすら深い山を日本海に向けて走るこのコースはなんとも目に楽しい。
ジオラマみたいな山と川が広がってるのよ。

南小谷の駅に降りると、相変わらず何もない。
食料を調達してくるべきだった・・・2回目なのに学習してないな(笑)
前回はなんとトランジットに1時間以上もあり、何もない中からラーメン屋を探し出し
なんとか昼食にありつけた、ということがあったのです。
今回はラッキーなことに駅前に1軒のお店があって、また何とかご飯になりそうなものを調達。
山で遭難したらきっと死ぬな、わたし。

糸魚川まで出ると、電車で何度も通っているおなじみのコース。
日本海沿いをずっと走るこの線、何度見ても飽きないお気に入り風景のひとつ。
親不知を通ると松本清張、遠く広がる日本海は森村誠一・・・
今回、麦藁帽子もかぶっててバッチリじゃないの(笑)
とバカな話をしているうちにまもなく懐かしい、懐かしい黒部の駅に。



★欅平への道・3日目(黒部)

黒部では毎年恒例の24時間ライブ。
もう今年で何回目になるんだろうな、すっかりおなじみのメンバーが暖かく迎えてくれる。
最初に参加したときは大学生で、今やこんな年齢になってしまっている。
ママさんになったり、マダムになったり、メンバーにもそれぞれ変化があって
2年ぶりのライブは新鮮さと懐かしさの混在。
私自身にも色々なことがあって、東京から田舎に戻って、たくさんのことを考えて消化して
今はまた社会生活に戻っているんだけれど
その時間を経て感じるこの空間・時間・人は全然変わらなくてただ暖かくて
本当に「縁」っていうの、あるんだな。
そんな風に感じていたのでした。

(ライブ、今回はさすがにもう書くネタがないね。)

ライブが無事終了して行き着くところは常宿の知人宅。
友人は一年ぶりのこの家、私は昨秋のアルペンルート・ツアー以来。
この家が建った年からお世話になってるからねー。って、何年経ったんだろう?
毎年毎年黒部のお宿はこちらのお宅で、美味しいものをたらふく食べて
美味しいお酒を飲んでがーっと寝てわーっと帰ってきてしまう、
という台風の目のようなわたくしたちでありますが。
今年はもう一泊させていただけるとのやさしいお言葉で、欅平に!というわけ。
慈愛に満ちた部屋の主に感謝!です。



★欅平への道・4日目(宇奈月〜欅平)

私、友人、主となんとか疲れた体を起こして家を出る。
ここから宇奈月まで車で移動、宇奈月からはトロッコ列車に乗って終点の欅平へ。
宇奈月に着くと、駐車場は満車、観光バスもいっぱい。
山は日本全国どこでもトップシーズンだもんね。
辺りには旗を持った添乗員さんと団体さんがたくさん。
往復の切符を買い(これが結構高いのよ)、列車に乗る。
前回このメンバー+もう一人友人で行った黒薙行き(旅行記参照)は
一般車両が満員で、窓のついた車両に乗って行ったんだよね。
今回は一般車両になんとかすべりこんで。

昨秋のツアーでは同じ窓なしトロッコで極寒の峡谷を行き
今回は夏だからいいかな、なんて軽い気持ちで(前回夏に行った時は暑かったし)
乗ってみると、トンネルはひんやりとしてすでに寒かった・・・
それでも黒薙くらいまではなんとか大丈夫な気温ではあったけれど
鐘釣から先、高度が上がるにつれて本当に寒い!
冬物のニットをはおっても問題の手のひら(末端冷え性)がまもれなくて
欅平に着く頃には氷のような冷たさ。ひえぇ、寒いよぉ〜・・・・

夏のトロッコは2回目だけれど、相変わらず風景は飽きない。
今年は台風の当たり年で大量の雨が降ったのだそうで、どこを通っても大きな木片がごろごろしている。
これだけ遠くから見てあれだけ大きいんだから、どんな木なんだろうね?
とのん気に眺めていた私。
その「台風」が後でアクシデントをもたらすとは、つゆ知らず。

毎回毎回どこかに書いている気がするけれど
寒い場所の山はどれだけ眺めても飽きることを知らない。
針葉樹の森(天城にもちょっとあるけれど、スケールが違うんだって)、
尖った三角形の高い山、何て言うのかな、頭の上から迫ってくる感じ。
遠くから見ると自然の厳しさがにじみ出ているんだけど、入ってみると優しい雰囲気なの。
そういう懐の大きなところが好き。山って。

うっとりぼんやりとしている間に電車は進み、鐘釣を過ぎると初めての風景。
間もなく欅平、昨秋行っておけばよかったと激しく後悔した欅平。
今日は温泉だもんねー。峡谷を楽しむもんね♪
とうきうきで降りてみると、「台風」で崩れており遊歩道も立ち入り禁止だという。
折角来たのに・・・伊豆から・・・
目的の温泉までは当然行けず、駅前の日帰り温泉と遊歩道(途中まで)を少し歩くことにする。

その遊歩道も「雨後は滑ります」って書いてあり(この日はまさに「雨後」)
なんだかなあ。まあ折角なので行くけどね。
途中一枚の葉が人の顔くらいある木が突然道の脇にぽこん、と生えていたり
うわ、『原始の森』っぽいな、なんて。
人が踏み入らない(踏み入ってるけど、ここでは「住む」の意で)場所って
当然だけど植物、木、森、動物、水、石と自然だけで世界ができていて
私は「ヒト」の存在しない時代の世界を見ているのではなかろうか?という錯覚を起こす。
タイムスリップしたような、宮崎駿のアニメの世界に入り込んだような、
まぎれもない現実なのにあまりにプリミティブで、ヴァーチャルにさえ感じてしまう自然。
余計なものが一切ない、自然の荒々しさもそのままに、どんな華道家も真似できない造形美。
来るたびに私は頭の上からわしゃわしゃと自然の力にすすがれて、
抗うこともなくただその心地よさに身を任せるだけ。

その後駅前まで戻り、温泉でライブの疲れを癒す。
これがまたなんともいいお湯で、温泉好きな私ら二人は入ったら出られない(笑)
渓流を眺めながら二人でゆらゆらと泉に身を委ねる。
やっとの思いで湯から上がると、あれだけ寒かった手がしっかり温かい。凄いな、温泉。

温泉から出ると、外は土砂降りの雨・・・・
今回、本当についてないな。
旅っていうといつも快晴なのに、こんなについてないのは何でだろう?
折角温泉に入ったのに、駅までのわずかな距離でずぶぬれ。

激しい雨に打たれてずぶぬれなのに、体の中はとにかく熱くて
渓谷の美味しい水で淹れたアイスコーヒー(水、甘くて美味!)を飲んでも全然冷めない。
ふと名を呼ばれ、椅子に座って目の前の山を見ると山から湯気が・・・
そんなわけないけど(笑)霧に包まれた山はさらに神秘的。息も止まるような美しさ。
いつまでもこのレビューを見ていたくなるような魅力。

帰りも当然トロッコで宇奈月まで。
とにかく欅平で何もできなかったことが悔しくてたまらない。
台風だから怒るわけにもいかないしね・・・
この黒部峡谷、縁があるんだかないんだか(笑)でも3回来たってことは縁だよね。
次回こそ欅平を散策して泊まるぞ、って思ったし。
あと何回トロッコに乗れば気が済むんだろう?

名残惜しい欅平行きから戻ると、いつも飲んでいるメンバーが集合。
昨日も同じようなメンバーで(昨秋も同じメンバーだった)飲んだけどね。
いつも自分が作ってもてなすことの多い私、作ってもてなしてもらうってステキ。
また主の作るものって本当に美味しいの。
毎年ライブも楽しみだけど、主の作る美味しい料理も同じくらい楽しみなんです。
昨夜も夜半すぎまで話して、今夜もアテネオリンピックを見つつ夜はふける・・・
来年もまた来れるといいな。



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